CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(6)

ディスカッション(佐々木渉×ドミニク・チェン× 毛利宣裕×中村翼×宮下芳明)
著作権と創作の自由をめぐって

■ 著作権についての感覚の変化

宮下 さっきの3Dプリンター屋の話ですけど、結構ドキッとするような依頼もありそうですね。たとえば、ミッキーの弁当箱作ってくれ、とか。そういうケースはきっと、これからも増えてきそうですね。ドミニクさんから是非、コメントをいただきたいところです。

チェン 増えてきそうというのは本当ですね。僕は、クリプトンさんたちが証明したことって、ほかの企業も学んだ方がいいことだと思ってるんです。つまり、ディズニーにせよ任天堂にせよ、そういうことはむしろ奨励したほうがいいと思う。

ちょっとビジネスっぽいことを言うと、大きい企業ほど、コンプライアンスを守らなきゃいけないとか、キャラクターの権利処理をどうするとか、クリエイティブではないことを考えなきゃいけないので、逆にもっとストラテジックになった方がいい。ベンチャーだったら、普通に考えると、そういうことはもっと積極的に進めていこうと思うでしょう。法律に詳しい人がそういうところにすぐツッコんじゃう状況とか、逆にツッコまれるんじゃないかと萎縮しちゃう状況とかを、僕らは払拭したいと思っていて、そこが払拭できるのが本当のゴールかなと思っています。

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CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(5)

毛利宣裕(東京メイカー)・中村翼(株式会社東京メイカー)
パーソナル3Dプリンター革命

■ みんな欲しいものがわからない

毛利 皆さん、こんにちは。東京メイカーの毛利と申します。

中村 中村と申します。今日は東京メイカーを代表して、毛利と、私中村がご説明させていただきます。

毛利は工業用3Dプリンターのプロのエンジニアをしています。工業用の3Dプリンターには、大きく2種類あります。まず、「光造形」と呼ばれるもので、交換樹脂をレーザーで固めて積層していくものです。もうひとつが、「粉末造形」と言いまして、PM20から5ぐらいの粉末を固めて、できあがったら芋を掘るように取り出してくるものです。

その一方で、パーソナル3Dプリンターというものがあります。工業用ではなく、個人向けですね。これは実際に中野のブロードウェイのお店にあるものですが、これはFDM、fused deposition modelingという、プラスチックを溶かして積み重ねていく手法を使っています。

で、東京メイカーは何をしているかといいますと、工業用の3Dプリンターじゃなくて、パーソナル用の3Dプリンターを使用してものを作っています。

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CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(4)

ドミニク・チェン(NPO法人コモンスフィア理事)
表現者が自由に面白いことができるように

■ 「クリエイティブ・コモンズ」の仕事

ドミニク・チェンと申します。われわれ「クリエイティブ・コモンズ」は何をしてる団体かと言いますと、最初に宮下さんがプレゼンテーションで「表現の民主化」とおっしゃいましたが、それとまったく同じ理想を共有する団体です。

具体的なアプローチとして何をしているのかというと、たとえば「初音ミク」というソフトウェアなりコンテンツやメディアの、一番面倒くさくて実感しずらい部分である著作権をクリアして、クリエーターの人たちが自由に表現が行えるように、「表現の民主化」が行えるようにするという仕事で、これを2002年からアメリカを中心にやっています。日本でも8年ほど活動をしていまして、最近では『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』という本でその歴史の紹介なども行っています。

 

 

dominik

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CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(3)

佐々木渉(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)
ノイズとしての「初音ミク」

■ VOCALOIDとは何だったのか

私は、札幌の「クリプトン・フューチャー・メディア」という会社で、2007年当初から2012年くらいまで、「初音ミク」の企画の立ち上げからそれに続くさまざまなプロジェクトに関わってきました。

今回、「初音ミク」の「モノ化」とか「実体化」がテーマということで、明治大学さんからご依頼をいただいたんですが、実はそのお話をいただいたとき、困ったんですね。

というのは、「初音ミク」は、歌とか曲という切り口からなら、CGMの流れで非常に説明がしやすいんです。ただし、「実体化」をテーマにするとなると、なかなか難しい。今はふだんから「ものづくり」に情熱を捧げている方々が、「初音ミク」を立体物で巨大にしたり逆に顕微鏡でしか見られない極小サイズにしたり、もしくは実体化とはちょっと違いますが、ソフトウェアとして「初音ミク」を使ったりして、いわばCGM文化を底上げするような試みをされている状態です。

その人たちの中には天才エンジニアのような人もおりまして、広い意味での「ものづくり」として「初音ミク」に関わってくださった方が、趣味的に考えた「初音ミクをこういうふうに表現したら面白いんじゃないか」というアイデアを手際よくまとめてくださったり、プログラム等を権利が開かれた形で公開してくださったことが大きいなと思います。ただそういった部分は、CGMの文脈で語ると、少し変なことになるのかもしれません。

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CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(2)

山田俊幸(明治大学 米沢嘉博記念図書館)

「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱展」

現在、米沢嘉博記念図書館で開催中の「次元の壁をこえて 初音ミク実体化への情熱展」で、「初音ミク」に関するさまざまな作品を展示させていただいています。
具体的にどんな感じのものか、写真でちょっとご説明いたします。
展示会場はこのような形になっておりまして、正面にミクさんがいて、右側の方にアクリルのケース、左側の方にもさまざまな作品が展示されています。

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正面にあるこの作品、「以前動画で見たことがある」という方もたくさんいらっしゃると思いますが、「みさいる」さんという、「等身大で実際に歌って踊れる初音ミクのロボット」をつくったという方がいまして。現在は動力など色々外してしまって動けない状態になっているのですが、その本物を展示させていただいています。

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CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来 レポート(1)

宮下芳明(明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科)

イントロダクション:「受動的消費者」から「創造的生活者」へ

 

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■ 表現は万人の権利である

みなさん、こんにちは。トークイベント「CGMから始まるイノベーション 初音ミクが切りひらく未来」へようこそ。わたくし、司会を務めさせていただきます、明治大学の宮下と申します。どうぞよろしくお願いします。

まず僕の方から、宮下研究室の紹介をさせていただきます。宮下研では、「表現の民主化」をテーマに、2007年から研究活動に取り組んでいます。そのキーワードのひとつが「CGM」、つまりConsumer Generated Media、消費者がコンテンツを作っていくメディアのことですね。僕らはこうしたメディアのあり方と、それを支える情報テクノロジーやメディア・テクノロジーの研究を進めていこうとしています。

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